風のない十字路

邦楽洋楽のアルバムレビューを主に書いてます。

TM NETWORK 『Self Control』 - アルバムレビューvol.81



1. Bang The Gong (Fanks Bang The Gongのテーマ)
2. Maria Club (百億の夜とクレオパトラの孤独)
3. Don’t Let Me Cry (一千一秒物語)
4. Self Control (方舟に曳かれて)
5. All-Right All-Night (No Tears No Blood)
6. Fighting (君のファイティング)
7. Time Passed Me By (夜の芝生)
8. Spanish Blue (遙か君を離れて)
9. Fool On The Planet (青く揺れる惑星に立って)
10. Here, There & Everywhere (冬の神話)


1987年2月リリース


 


【概要】


ずっと前からレビューしたくてなかなかタイミングが掴めず今回やっとこの
TM NETWORKの4thアルバムSelf Controlをレビューします。


TM NETWORKは今年デビュー30周年目で3ヶ月ほど前には最新アルバム『QUIT30』
もリリースしています。(『QUIT30』のレビューも以前やりました


今回レビューするこのアルバムは今からちょうど28年前に世に出されました。
そしてTMがこのアルバムをきっかけにして大ブレイクすることになります。
さらに2ヵ月後にシングルGet Wildをリリースし、TMの名を知らしめました。


とにかく収録曲すべてが名曲。順に書いていきたいと思います。


 


【全曲レビュー】


「Bang The Gong (Fanks Bang The Gongのテーマ)
   ・・・アルバムの開幕曲は1分弱のインスト曲。中華風のドラの音が印象に残る。


「Maria Club (百億の夜とクレオパトラの孤独)
   ・・・実在するクラブの名前を冠した、軽快なダンスナンバー。しかしイントロでは歪みの
     利いたギターの音色も聴こえたりと、小室さんの音楽の幅の広さを感じさせる。
     ボーカルのウツさん(宇都宮隆)の声もまだ若々しく、煌びやかだ。


「Don’t Let Me Cry (一千一秒物語)
   ・・・元々はシングル曲候補だった曲。シンセの音が耳に残るメロディを奏でる。前曲
     同様にダンスナンバー。今聴くとどうしても80年代くささがある(笑)サビの畳み
     かけるウツさんの歌いっぷりがかっこいい。


Self Control (方舟に曳かれて)
   ・・・今では「Get Wild」と並び、一般リスナーへの知名度も高い彼らの本格的な
     最初のヒットシングル曲。なんといってもサビでの「せるふこんとろ~る♪」の声
     が嫌でも耳に残り(この特徴的な声は木根さんの声をサンプリングしたもの)
     後の90年代のTKソングの元祖のようなヒット曲のお手本みたいな感じだと思う。
     今のライブでも演奏されることが多い。


「All-Right All-Night (No Tears No Blood)
   ・・・86年11月に先行シングルとしてリリースされた。ブラスが前面に強調されて曲の
     派手さを演出していて同時にカッティングギターのフレーズも印象に残る。1曲目か
     らこの5曲目までは勢いのあるダンスナンバーを配置してある。


「Fighting (君のファイティング)
   ・・・大ヒット曲「Get Wild」のカップリング曲としてシングルB面に収録もされている
     バラード曲。アルバムはこの曲からバラードタイムに入る。ちなみに「Get Wild
     の影に隠れて知らない人も多いが、アニメ「シティーハンター」の劇中に挿入歌
     としても使われたことがある。


「Time Passed Me By (夜の芝生)
   ・・・彼らの曲の中でも群を抜いて哀愁漂うバラード、それもそのはず木根さんの作曲
     のいわゆる【木根バラ】の代表格の1曲小室みつ子さんの書く甘酸っぱい青春を
     描く歌詞も素晴らしい。サビでのウツさんの歌声は甘く、それをサポートする小室、
     木根両名のコーラスも珠玉の出来。アコースティックギターとストリングスのみの
     演奏も良い味を出してくれている。名曲!


「Spanish Blue (遙か君を離れて)
   ・・・2曲バラードが続き、小休止のダンスナンバーといったところか。ただこの曲が前半
     のダンスナンバーと少し違うのはメロディが物悲しい感じがすること。反面力強い
     ウツさんのボーカルも良い。この後に残す2曲は共に大名曲だ。


「Fool On The Planet (青く揺れる惑星に立って)
   ・・・キレイなシンセとコーラスのイントロで鳥肌が立ってしまうTMのバラード曲史上で
      最高の名曲がこれ。作詞・小室みつ子 / 作曲・木根尚登 / 編曲・小室哲哉
      という最強の布陣で作られた木根バラでもある。下にYouTubeの動画を貼って
      おくが聴いてもらえば、おそらくイメージするのは「冬」「星空」あたりだろう。
      今日みたく身を切るような寒さの日に外で星空を眺めながら聴けば最高だろう。
      2012年武道館ライブはこの曲で始まり、今日の神戸ライブでの一連のプロジェ
      クト最終公演のラストはこの曲だったようだ・・・泣ける。


「Here, There & Everywhere (冬の神話)
   ・・・サックスが最高にイカしてる(古い表現でスミマセン)イントロで始まるアップテンポ
     なバラード曲。僕は前曲と比較して【哲バラ】と勝手に命名している。前曲と違い、
     詞、曲、アレンジすべて小室さん、しかも原曲は10代の頃に作ったというのだから
     恐ろしい。副題にあるが詞の中にアルテミスなど、神話上の神様の名前が出てくる
     、かなりロマンチックな内容も良い。ウツさんの歌声の優しさがたまらない。
     この曲も前曲同様に冬にうってつけの名曲だ。


 


【アルバムを通しての感想】


文句など付けようもない完璧なアルバムだろう。翌88年にも
『humansystem』『CAROL』という超が付く名盤を作り世に送り出しているTMだが、
この『Self Control』も負けていない。やはり後半の怒涛の名バラードラッシュがとんでも
ない。この86年~88年のTM NETWORKは絶頂期だと思う。


「Fool On The Planet」に関しては、28年経った今の時代に聴いても古臭さなど微塵も
感じさせないことが凄い。「新曲です」と言ってドラマタイアップなどが付いても違和感など
ないだろうし、改めてTM NETWORKの偉大さがわかる。


全10曲(インストを除けば9曲だが)の数ある作品でも個人的にTOP3に入れる名作。
あとレビューをしていない『humansystem』も近いうちにやりたいところである。


TM NETWORKを知らない人にはベスト盤も沢山出ているが『Self Control』を
手にとってもらっても問題ない。それだけ充実した内容だから


 


評価:★★★★★(バラード好きな方には特にオススメできる超名盤!) 


 



それではお聴きください。「Fool On The Planet(青く揺れる惑星に立って)」